マンションは昭和30年代に供給が始まって以来、増加の一途をたどり、そのストック総数は2011年には600万戸を超え、現在も増え続けています。マンションへの定住化意識も進み、生涯の住まいとしてマンションを選ばれる方も多くなってきました。
快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図り長く住まい続けるためには建物の経年劣化に対応した適時適切な修繕工事を行うことが重要となります。
長期修繕計画とは長期的な視野に立って修繕の内容、時期、費用と資金計画を試算したものです。
国土交通省においても「長期修繕計画標準様式」、「長期修繕計画作成ガイドライン」、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などが策定され、長期修繕計画や修繕積立金についての関心や理解を深め、適正な修繕積立金の設定・積立と、適時適切な修繕工事が行われるよう推進しています。
建物の修繕時期を逸して劣化が進行すると美観を損なうだけでなく躯体のひび割れや鉄筋腐食により建物の寿命を縮め、漏水やタイル落下事故などを招き再生のために多額の資金の投入が必要となります。また資産価値の低下により居住者が減ってしまうなど環境にも取り返しのつかない事態となることも考えられます。
計画性のない修繕は、適切な時期を逃したり、修繕部分が偏るなどの無駄が発生したり、急な出費による資金不足に陥る可能性もあります。
長期修繕計画の目的は「生涯費用を把握し、適時適切な維持保全を行う」ことです。
すなわち、
1.適時適切な修繕の目安(いつ、どのような修繕を行う必要があるのか)
2.修繕費用の目安(どの程度の費用がいつ必要なのか)
3.資金の目安(必要な費用をどのように賄うか)
を把握することにあります。
また計画を通じて所有者の共通理解を深める事にも役立ちます。管理組合と所有する建物にふさわしい長期修繕計画を作成し上手に活用することにより、大切な資産を守り永く快適に住まえる環境づくりが実現します。
>>工事周期の延伸について